
バショウがゆったり笑う。
バナナにそっくりな葉に、赤い鳥をのせて。
それは1944年(昭和19年)の9月、夏の終わり。
「ねーねー。赤ちゃんにあげるかざぐるま。作ろう。」
「だーかしてみー。どれ、ごらん。」
「これで赤ちゃん、笑うかな。」
「キュルルルー。」
赤い鳥が笑う。
沖縄島のまん中、中城の村はとても静かで明るかった。
トシはやがて三人の子のお母さんになる。
小学校一年生のユイ子と四才の盛一。
そして、おなかの赤ちゃん。
「はやく生まれておいで。とても、とても楽しみだよ。」
トシはちむどんどん、心がおどった。
「でも、しわやっさー。心配だね。戦争が沖縄にこなければいいのに。」
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